2007-09-11
『殉死』を読んで その3
8月12日
長いことづらづらと書き殴ってきた『殉死』の感想も今回で終わりです。本来なら日露戦争について良く調べ、深い知識でもって感想が書ければ良いのですが、時間がなく、知識不足で申し訳ありません。多分にトンチンカンな事ばかり書いていると思いますが、どうか最後までお付き合いくださいませ。
明治帝と乃木の麗しい前時代的な主従関係について、実のところあまり言うべきことはありません。もう、勝手にやっちゃってよ、このバカップルvというのが素直な感想です。
乃木が殉死するのは、乃木の美学から言って当然でしょうね。この時代には時代遅れな行為だったとしても、ここで後を追わなきゃ今まで積み上げてきた物が嘘だということになってしまう(少なくとも本人はそう思ってる)。この殉死によって乃木は世界中に凄まじい忠義心を表にします。そして、乃木の純粋な忠誠心が、日本軍の手によっていいように利用されていくんですね…。
私が「腹をきること」を読んでいて一番ドキッとさせられた場面は、乃木の妻静子が殉死の供をするところでした。静子さんはかわいそうというか…乃木に嫁がなきゃ平凡な一生を送れた人だと思います。
私は『殉死』を読むまでは、静子の気持ちとしては、夫に黙って従うのが妻の役目とばかりに進んで殉死したのかと思っていました。でも、乃木の冗談で言った「おまえも死ねばいいではないか」に対して、
「わたくしはこれからせいぜい長生きして、芝居を見たり、おいしいものを食べたりして、楽しく生きたいと思っているのでございますもの」
と言ったところを読んで、静子さん、普通の奥さんだ!と思いました。当たり前ですよね、陰鬱な夫に仕え、姑からはいびられ、息子二人は夫の命令で無理やり軍人にさせられたあげくに戦死。もう、いいかげんに私の自由にさせて!と言いたくなりますよ。
しかし…、静子さんは乃木の供をしちゃうんですよね…。『殉死』では、オカルトな解釈を交えて静子の心境の変化を追ってゆきます。そして急遽死ぬことにした静子さん、驚く乃木。でも、乃木はいつだって乃木なので、自分の美学を貫くためにあと、15分で死ねと言う。鬼畜乃木。
−今夜だけは。
という殉死の直前の静子さんの短い叫びが、なんだかすごく恐いんですが…。そこがすごく印象的でした。
さて、今まで散々乃木をこき下ろしてきましたが、乃木という人は人間的魅力があったんでしょうね。今の時代の価値観で見ると、滑稽にさえ思えてしまう乃木の行動も、その不器用さも、あの時代に生まれていれば、魅力として写ったんではないでしょうか。まあ、人間としての魅力と軍人としての能力は別ですが…。
誰に強制されたわけでもないのに、あえて困難な生き方をする乃木大将。最後に司馬さんは、乃木は自分の一生を暗い不遇なものとして感じてたらしいが、それはどうだろうとおっしゃってますが、私も同感です。確かに、辛い目にはたくさんあってきたと思いますが、
あれだけ、自分の好きなように生きられたら満足ではないでしょうか?
長いことづらづらと書き殴ってきた『殉死』の感想も今回で終わりです。本来なら日露戦争について良く調べ、深い知識でもって感想が書ければ良いのですが、時間がなく、知識不足で申し訳ありません。多分にトンチンカンな事ばかり書いていると思いますが、どうか最後までお付き合いくださいませ。
明治帝と乃木の麗しい前時代的な主従関係について、実のところあまり言うべきことはありません。もう、勝手にやっちゃってよ、このバカップルvというのが素直な感想です。
乃木が殉死するのは、乃木の美学から言って当然でしょうね。この時代には時代遅れな行為だったとしても、ここで後を追わなきゃ今まで積み上げてきた物が嘘だということになってしまう(少なくとも本人はそう思ってる)。この殉死によって乃木は世界中に凄まじい忠義心を表にします。そして、乃木の純粋な忠誠心が、日本軍の手によっていいように利用されていくんですね…。
私が「腹をきること」を読んでいて一番ドキッとさせられた場面は、乃木の妻静子が殉死の供をするところでした。静子さんはかわいそうというか…乃木に嫁がなきゃ平凡な一生を送れた人だと思います。
私は『殉死』を読むまでは、静子の気持ちとしては、夫に黙って従うのが妻の役目とばかりに進んで殉死したのかと思っていました。でも、乃木の冗談で言った「おまえも死ねばいいではないか」に対して、
「わたくしはこれからせいぜい長生きして、芝居を見たり、おいしいものを食べたりして、楽しく生きたいと思っているのでございますもの」
と言ったところを読んで、静子さん、普通の奥さんだ!と思いました。当たり前ですよね、陰鬱な夫に仕え、姑からはいびられ、息子二人は夫の命令で無理やり軍人にさせられたあげくに戦死。もう、いいかげんに私の自由にさせて!と言いたくなりますよ。
しかし…、静子さんは乃木の供をしちゃうんですよね…。『殉死』では、オカルトな解釈を交えて静子の心境の変化を追ってゆきます。そして急遽死ぬことにした静子さん、驚く乃木。でも、乃木はいつだって乃木なので、自分の美学を貫くためにあと、15分で死ねと言う。鬼畜乃木。
−今夜だけは。
という殉死の直前の静子さんの短い叫びが、なんだかすごく恐いんですが…。そこがすごく印象的でした。
さて、今まで散々乃木をこき下ろしてきましたが、乃木という人は人間的魅力があったんでしょうね。今の時代の価値観で見ると、滑稽にさえ思えてしまう乃木の行動も、その不器用さも、あの時代に生まれていれば、魅力として写ったんではないでしょうか。まあ、人間としての魅力と軍人としての能力は別ですが…。
誰に強制されたわけでもないのに、あえて困難な生き方をする乃木大将。最後に司馬さんは、乃木は自分の一生を暗い不遇なものとして感じてたらしいが、それはどうだろうとおっしゃってますが、私も同感です。確かに、辛い目にはたくさんあってきたと思いますが、
あれだけ、自分の好きなように生きられたら満足ではないでしょうか?
2007-09-11
『殉死』を読んで その2
8月11日
引き続いて『殉死』の感想を述べたいと思います。
私はこの要塞攻撃を読んでいて思いました。
「アレ?これって日本が勝つ話だよね?」
「え?こんなんやってて、勝てるのぉぉぉぉ!?」
勝てるんですね、児玉がいれば。あと、有坂さん。
もう、凄まじいばかりの人の死によう。それもすべて、要塞に対して人が突撃して返り討ちにあるというものばかり。読んでて暗くなりました。兵士は上官の命令には絶対服従ですから、突っ込めと言われれば突っ込むしかないわけですよ。あぁ、無謀な突撃を繰り返し築かれていく屍体の山。司馬さんの冷静な描写が、読者の怒りを増幅させます。
伊地知という参謀長が出て来るんですが、この男が悪の元凶のように描かれていました。まあ、乃木は基本無能でお飾り司令官なので、実質的には参謀長の伊地知がなんとかして作戦を考えなきゃいけないんですが、石頭のこれまた大変な無能に描かれていました。大本営陸軍部内からの度重なる進言も、ことごとく無視し突っ走ります。
軍部内からは「狂ったのか?」と言われる有様。でも…、こんな無能を任命したのはどこの誰なんですかね?大本営のみなさん、任命責任ってものはないんですか?
「伊地知なら大丈夫♪」
と言った奴出てこーーーーーーーーい!!
まあ、何とか救世主児玉が現れ、事態を打開し去って行きますが(児玉カッコイイ☆)、でも帰国後過労死(泣)。誰もが思います。最初っから児玉を投入していれば…。
しかし、この救世主児玉ですが、どうも乃木に甘いような気がしてなりません。児玉どころか明治帝もみんな乃木のことが、かわいいあまり過保護じゃないっすか?以下児玉のセリフを抜き出してみます。ちなみに()内は私の妄想。
戦線で乃木を探す児玉が田中少佐に向かって
「伊地知ではむりだったのだ。乃木が可哀そうだ(伊地知め!よくも俺の乃木をここまで追い詰めたな…、乃木は繊細なんだぞ!すぐ切腹したがるやつなんだぞ!)」
乃木軍が音信不通となり満州で行方不明になった時、児玉は机に突っ伏し泣くようにつぶやきつづけた。
「乃木が迷子じゃ。迷子じゃ(乃木を一人になんてしておけない!俺の手元で監視しなきゃ、死んじゃう!)」
はい、すいません。妄想が過ぎました。
次回はいよいよ乃木の人生の集大成殉死について、第二部「腹をきること」を語りたいと思います。
引き続いて『殉死』の感想を述べたいと思います。
私はこの要塞攻撃を読んでいて思いました。
「アレ?これって日本が勝つ話だよね?」
「え?こんなんやってて、勝てるのぉぉぉぉ!?」
勝てるんですね、児玉がいれば。あと、有坂さん。
もう、凄まじいばかりの人の死によう。それもすべて、要塞に対して人が突撃して返り討ちにあるというものばかり。読んでて暗くなりました。兵士は上官の命令には絶対服従ですから、突っ込めと言われれば突っ込むしかないわけですよ。あぁ、無謀な突撃を繰り返し築かれていく屍体の山。司馬さんの冷静な描写が、読者の怒りを増幅させます。
伊地知という参謀長が出て来るんですが、この男が悪の元凶のように描かれていました。まあ、乃木は基本無能でお飾り司令官なので、実質的には参謀長の伊地知がなんとかして作戦を考えなきゃいけないんですが、石頭のこれまた大変な無能に描かれていました。大本営陸軍部内からの度重なる進言も、ことごとく無視し突っ走ります。
軍部内からは「狂ったのか?」と言われる有様。でも…、こんな無能を任命したのはどこの誰なんですかね?大本営のみなさん、任命責任ってものはないんですか?
「伊地知なら大丈夫♪」
と言った奴出てこーーーーーーーーい!!
まあ、何とか救世主児玉が現れ、事態を打開し去って行きますが(児玉カッコイイ☆)、でも帰国後過労死(泣)。誰もが思います。最初っから児玉を投入していれば…。
しかし、この救世主児玉ですが、どうも乃木に甘いような気がしてなりません。児玉どころか明治帝もみんな乃木のことが、かわいいあまり過保護じゃないっすか?以下児玉のセリフを抜き出してみます。ちなみに()内は私の妄想。
戦線で乃木を探す児玉が田中少佐に向かって
「伊地知ではむりだったのだ。乃木が可哀そうだ(伊地知め!よくも俺の乃木をここまで追い詰めたな…、乃木は繊細なんだぞ!すぐ切腹したがるやつなんだぞ!)」
乃木軍が音信不通となり満州で行方不明になった時、児玉は机に突っ伏し泣くようにつぶやきつづけた。
「乃木が迷子じゃ。迷子じゃ(乃木を一人になんてしておけない!俺の手元で監視しなきゃ、死んじゃう!)」
はい、すいません。妄想が過ぎました。
次回はいよいよ乃木の人生の集大成殉死について、第二部「腹をきること」を語りたいと思います。
2007-09-11
『殉死』を読んで その1
8月10日
これを読めば、陸軍大将乃木希典が大嫌いになること間違いなし!な本です。司馬遼太郎著 (文春文庫)。
内容は乃木の軍人としての無能ぶりと、明治天皇との時代を超越した有り得ないくらい美しい主従関係(皮肉)の二本立て。
特に前半の「要塞」という章においての、乃木の指揮官としての無能さの描写がスゴイ。…これ読んで、乃木ファンになる人なんて絶対いないって。
「要塞」では、乃木の生い立ちから、日露戦争の旅順要塞攻撃、そして勝利(正しくは児玉の過労死)までを語っています。
しかし、乃木って人は…とっても格好付けな人だと思います。若い頃のハイカラ振りとその後の軍人を絵に描いたような姿。この二つは矛盾しているようで、どちらも乃木の本質を表していると思います。ハイカラで料亭で豪遊している乃木は、その当時の陸軍の軍人の典型だし(乃木の場合度が外れてたと司馬さんは言ってます。本当に何をやるにも極端な人だ)、独逸留学で人が変わったように厳格な軍人になったのも、留学先の独逸軍人のストイッックさに感化されたに過ぎません。要するにこの人は何をやるにも形から入る人なんですね。そんな人なんで、西南戦争で軍旗を奪われた時、物凄い狼狽するわけですよ。軍旗を奪われたことは、軍人にとって恥ですからね。そんな恥辱に乃木はとても耐えられない。司馬さんのおっしゃるように普通の人間ならば、ここで、不名誉な過失を契機に実力を磨き名誉を挽回しようとしますが、乃木は一度の失敗だって許せないのです。軍旗を奪われる軍人なんて、乃木の理想とする格好良い軍人じゃありませんもの。
おそらく乃木は、物事の本質を見極めようとするよりも、その表層だけを理解し取り入れるのがすごくうまい人なんだと思います(ヒドイ)。だから、みんな乃木の軍人としての素晴らしい態度にダマされ、乃木が軍人としての本質を全く理解していないことを見落としてしまうんですね(まあ、乃木の無能ぶりを知っててあえて、利用する奴もいますが…)。
はっ!乃木だけでこんなに長くなっちゃった!次は、読者怒り心頭の旅順要塞攻略について語ろうと思います。ちょっと、はっちゃけちゃうかも(笑)。
これを読めば、陸軍大将乃木希典が大嫌いになること間違いなし!な本です。司馬遼太郎著 (文春文庫)。
内容は乃木の軍人としての無能ぶりと、明治天皇との時代を超越した有り得ないくらい美しい主従関係(皮肉)の二本立て。
特に前半の「要塞」という章においての、乃木の指揮官としての無能さの描写がスゴイ。…これ読んで、乃木ファンになる人なんて絶対いないって。
「要塞」では、乃木の生い立ちから、日露戦争の旅順要塞攻撃、そして勝利(正しくは児玉の過労死)までを語っています。
しかし、乃木って人は…とっても格好付けな人だと思います。若い頃のハイカラ振りとその後の軍人を絵に描いたような姿。この二つは矛盾しているようで、どちらも乃木の本質を表していると思います。ハイカラで料亭で豪遊している乃木は、その当時の陸軍の軍人の典型だし(乃木の場合度が外れてたと司馬さんは言ってます。本当に何をやるにも極端な人だ)、独逸留学で人が変わったように厳格な軍人になったのも、留学先の独逸軍人のストイッックさに感化されたに過ぎません。要するにこの人は何をやるにも形から入る人なんですね。そんな人なんで、西南戦争で軍旗を奪われた時、物凄い狼狽するわけですよ。軍旗を奪われたことは、軍人にとって恥ですからね。そんな恥辱に乃木はとても耐えられない。司馬さんのおっしゃるように普通の人間ならば、ここで、不名誉な過失を契機に実力を磨き名誉を挽回しようとしますが、乃木は一度の失敗だって許せないのです。軍旗を奪われる軍人なんて、乃木の理想とする格好良い軍人じゃありませんもの。
おそらく乃木は、物事の本質を見極めようとするよりも、その表層だけを理解し取り入れるのがすごくうまい人なんだと思います(ヒドイ)。だから、みんな乃木の軍人としての素晴らしい態度にダマされ、乃木が軍人としての本質を全く理解していないことを見落としてしまうんですね(まあ、乃木の無能ぶりを知っててあえて、利用する奴もいますが…)。
はっ!乃木だけでこんなに長くなっちゃった!次は、読者怒り心頭の旅順要塞攻略について語ろうと思います。ちょっと、はっちゃけちゃうかも(笑)。
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